働くピアニスト・抗がん剤との闘い記録

働きながら、ピアノを弾きながら、抗がん剤に挑戦中

手のシビレとピアノ


3クールが終わり、1週休みの間、とうとう手のシビレが来ました。正確にいうと、シビレというより動きづらさです。
足はとっくにシビレていて、歩きづらくなっていましたが、ピアノに支障はないのでガマンしていました。手は急に来ました。普段の生活でもそういえば、少しパソコンのキーが叩きづらかったり、字が書きづらかったりしてきました。ただ、「日常生活に著しく支障がある」までは行っていない程度です。

ある日ピアノが全然弾けなくなりました。特に右手です。指が動かないのです。ただし、弾いているうちに温まってきたからか、少し動くようになりました。
ふと思い立ってピアノの椅子を低くしてみたら、もっと動くようになりました。弾きながら、身体のあちこちを意識してみたら、指ではなくて腕や背中が動きづらいのではないかと思いました。

パソコンとピアノは見た感じ「指を動かす」点では同じような動きに見えますが、全然違う運動なんだなと分かりました。その証拠に、指を細かく動かす早いパッセージを弾くときは意外と動くのですが、音のニュアンスを変えようと思ったり、何か表現しようとすると、うまくいきません。また、身体に力が入って指先だけで無理に弾こうとすると、動かなくなります。
これはある意味、自分の演奏中の身体の動きの観察や見直しの役に立つ状況ではないかと思いました。指先の感覚を大事にするフレーズは弾けるけど、身体を使って表現すべきフレーズは、ちゃんと身体を使わないと弾けないので、まるで自然の「強制訓練機」をつけているような感覚です。

・指先だけの動きは意外と問題なく動く

・腕や背中をきちんと使えば、指も動く

・人と一緒にアンサンブルすると、なぜかだんだん動くようになる

ということが分かりました。特に最後の「アンサンブル」は不思議なのですが、人間は身体だけで動いているのではなく、気持ちで動いている部分もあるということかな、と思います。やはり病と闘うには「心」「頭」「身体」がすべて関係しているようです。

 

なお、シビレの原因となっていたパクリタキセルという抗がん剤は、3クールで終了にしました。もう使いません。早めに中止にしたので、きっと感覚は戻ってくれると信じています。なぜパクリタキセルを使うと末梢神経に影響が出るのか、因果関係が分かっていないため、治療法や症状の変化の予測はできないし、個人差もあるそう。でも自分は治る!と信じています。温めたり動かしたりすることが改善につながるとしたら、ピアノを弾いていればまた、ちゃんとピアノが弾けるように戻れると思っています。まったく心配はしていません。