働くピアニスト・抗がん剤との闘い記録

働きながら、ピアノを弾きながら、抗がん剤に挑戦中

はじめまして

はじめまして。乳がんステージⅣですが、フルで仕事しつつピアノの活動もしています。

乳がん発病から16年経ちます。早いものです。再発・転移が分かってから、ホルモン療法という、比較的副作用の少ない治療で、幸いにも今までなんとかやってこられました。

ホルモン療法というのは、何種類もあるホルモン剤を1つずつ使っていくのですが、何年か使うと、薬に対する「耐性」ができてしまいます。つまり、身体が薬に慣れて、効かなくなってしまうのです。そうなると、別の薬に切り替えます。

切り替えのたびに「次はもう抗がん剤」と言われつづけ、逃げ続けてきました。乳がんの薬はとても進んでいて、次々と新しく開発されるようです。おかげで、「もう他のホルモン剤はない」と言われても、新しいのが出てきたり、前に効かなくなったはずのものがなぜかまた効いたりと、ラッキーが続いてきました。

しかしいよいよ今年の7月から、抗がん剤に切り替えることになりました。決まってからの2週間は、ジタバタと人生の終わりのような気持ちで絶望したり、どうにか逃げる方法はないものかと無駄なネットサーフィンをしたりしました。

というのは、私がまず投薬されることになったパクリタキセルというお薬は、「手足のシビレ」という副作用が発現しやすいことを知ったからでした。

私はピアノを弾くので、手足がしびれたら非常に困ります。私にとっての人生の目的は「生き延びる」ことではありません。最優先事項は「愛犬より先に死なないこと」ですが、その次は、「ピアノを弾くこと、それも一人ではなく、室内楽という仲間との共演の形で」です。

他のお薬という選択肢もありましたが、このお薬との組み合わせで未承認の薬の治験に参加できる、という事情もあって、パクリタキセルを使うことにしました。

実は私は「ガン」自体にそれほど恐怖を抱いていません。これはとても不思議なのですが、発病した当時からそうでした。手術を担当してくださった先生が「むしろ平然としすぎていて心配」とおっしゃっていたほどです。今でも、かなりあちこちに転移しているのに、ガンで死ぬ気がまったくしません。

私のガンは比較的穏やかに進行してくれているようです。しかも、大事な臓器は侵さずに、そっとしておいてくれています。このまま共存していけたらいいなと思っています。

だから私の闘いは「ガン」との闘いというより、「抗がん剤」との闘いです。抗がん剤の副作用、特に「手足のシビレ」との闘いです。そのために、嘘か本当か分からない「予防策」や「対処」を片っ端から試します。

私の抗がん剤との闘いの記録、そして無事にピアノを続けられるのか? そんな内容のブログになると思います。同じように闘病中の方の参考になるようなことも書いていけたらと思っています。